手ごろな料金体系で心身の疲れを癒すことができるメンズエステ店は、ビジネスパーソンを中心に人気が高く、近年出店が増えています。 ところが、出店数の増加と同時に、メンズエステ店が違法なサービスを行ったとして警察に摘発されるケースがよく見られるようになりました。
メンズエステ店は、健全な営業を行っていれば法に触れるような業態ではありません。 問題となるケースは、違法なサービス提供を行っている場合です。
今回は、摘発される可能性があるメンズエステ店の特徴と摘発が行われる流れ、そして一般的なメンズエステ店が摘発を回避するためのポイントを、風営法を踏まえたうえで解説します。
目次
1.摘発される可能性が高いメンズエステ店とは
2.風営法の届出が必要なライン
3.警察がメンズエステの摘発を行う際の流れ
4.風営法の届出を出さないメンズエステ店が注意すること
まとめ
近年、メンズエステ店が警察に摘発されることが増えています。 メンズエステと一口に言っても、厳密には以下の2つの業態に分類されます。
風営法の届出を出して風俗店であることを明確にしているメンズエステ店は、性的サービスを行っても摘発されることはありません。
問題となるケースは一般的なメンズエステ店として営業しているにもかかわらず、無届けで性的サービスを行っている違法店です。 風営法の届出を出さずに性的サービスを提供していたために、風営法違反で摘発される違法メンズエステ店が相次いでいます。
また、風営法ではサービス内容だけでなく、出店できる地域についても指定しています。 禁止地域での営業も、風営法違反で摘発の対象となるため注意しましょう。
メンズエステ店の摘発が増えた背景として、風営法の範囲内の地域で風俗店を新規出店することが難しくなった点が挙げられます。 風営法のグレーゾーンを悪用した違法な出店が増えたことにより、警察によるマークも年々厳しくなりました。
摘発を避けてメンズエステ店を経営するためには、提供するサービスの内容が風営法の届出が必要であるか否かを、正しく理解しておくことが重要です。
メンズエステが風営法の対象となるかどうかは、以下の条項が判断基準とされています。
個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業
引用:電子政府の総合窓口e-Gov「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第2条6項」
上記の通り、「異性の客の性的好奇心」に応じてサービスを提供していれば、風俗店として判断されるでしょう。 この場合は風営法で定められる「店舗型性風俗特殊営業2号」、いわゆる店舗型ファッションヘルスの扱いになります。
例えば、股間付近のマッサージであっても、手コキやフェラチオといった「射精」が伴う場合は風営法違反となるでしょう。
警察は、あいまいな根拠でメンズエステ店を摘発することはできません。 警察がメンズエステ店を摘発する際には、違法行為の事実を確認するために疑わしいメンズエステ店に対して潜入調査を行います。
ここでは、警察が違法メンズエステ店を摘発するために行う潜入調査の流れを解説します。
(1)客を装って来店する
潜入調査の際は、私服の警察が一般客を装って来店します。
私服を着用した警察は一般客と見分けがつかないため、不意に行われる潜入調査を防ぐことはまず不可能と言っていいでしょう。
(2)施術で性的なサービスを要求する
潜入した警察は、メンズエステ店が実際に違法な性的サービスを行っているかどうかを確認します。
はじめはセラピストから通常のリラクゼーションの施術を受け、徐々に違法メンズエステ店の客が行うような性的要求を行います。
セラピストの反応を見て、実際に性的なサービスが行われているか、また日常的に性的なサービスが行われているかを確認します。
(3)複数のセラピストから施術を受ける
警察は複数人のセラピストに対して潜入調査を行います。
違法な性的サービスをセラピストが個人的に行っているのか、それともメンズエステ店側の指示により店ぐるみで行っているのかを判断するためです。
また、一般客のようにリピーターとして繰り返しメンズエステ店に通う場合もあります。 複数人のセラピストの違法なサービスを確認して、警察が違法なメンズエステ店であると判断した場合は摘発されます。
続いて、違法メンズエステ店が摘発された場合、経営者・セラピスト・客に対してどのような罰則があるのかを解説します。
(1)経営者
違法メンズエステ店が摘発されると、その店は営業停止となり経営者は風営法違反容疑で逮捕されます。
逮捕された際の罰則は厳しく、最も重い罰則が科された場合は「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金又はこれの併科」とされています。
参考:電子政府の総合窓口e-Gov「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第49条」
また、法令違反だけではなく自治体によって定められた行政処分が科される場合もあります。 主に処罰の対象となるのは経営者ですが、共同経営者や経営に関わる従業員が一緒に逮捕されるケースもあります。
(2)セラピスト
違法メンズエステが摘発された際、基本的に逮捕されるのは経営者が多く、セラピストが逮捕されるケースは少ないです。
しかし店ぐるみの犯行と判断されたら、セラピストが逮捕される可能性も十分にあります。
また、逮捕はされない場合でも、メンズエステ店が摘発された場合は警察からその店の実態を事情聴取される可能性があります。
届出を出していないメンズエステ店で性的サービスを行っているようであれば、すぐに辞めることをおすすめします。
(3)客
違法メンズエステ店の摘発は、風営法違反の対象となるメンズエステ店ならびに経営者が対象となるため、その店に居合わせていた客が逮捕されることは基本ありません。
ただし、警察から捜査の協力のために、メンズエステ店のサービスや店舗関係者からの接客内容等について、事情聴取を求められる可能性はあります。
更に、相手が未成年者であることを承知のうえで性的なサービスを受けた場合は、売春防止法違反で逮捕される可能性があるため注意しましょう。
風営法の届出を必要としない一般的なメンズエステ店でも、実態が疑わしい場合は摘発される可能性があります。
一般的なメンズエステ店が摘発されないためには、「誤解を招くような行為をしない」ことが重要です。 以下では、摘発を防ぐための具体的な注意点について解説します。
〇セラピストに性的なサービスを絶対に行わせない
風俗店ではないメンズエステ店が摘発を回避するためには、サービス提供を行うセラピストに違法行為を絶対にしないように教育を施すことが重要です。
若いセラピストだと、一般的なメンズエステ店と風俗営業のメンズエステ店の明確な区別がつかず、性的なサービスも仕事の範囲内だと思う可能性があります。 そのため、サービス内容についても詳しく教育しておきましょう。
〇禁止事項を客に周知する
客が原因となって違法行為のリスクが発生することも多いため、事前にサービス内容と禁止事項を周知することも重要です。
具体的には、店内の目立つ場所に禁止事項を張りだし、来店時には禁止行為を説明・同意書にサインをもらうようにしましょう。 ルールとマナーを守れる客のみに入店を許可して、禁止事項に同意できない人は断ることが大切です。
上記のような具体的な対策を行うことで、違法なサービスを行っていない証拠にもなります。
〇性的なサービスにつながるような過激なオプションを設定しない
顧客満足度の向上や客単価アップのために、オプションを設定しているメンズエステ店も多いです。 当然、オプションの内容自体が性的サービスである場合は違法となるため厳禁です。
また、性的サービスを誘発するような過激なオプションを設定していれば、健全に営業していても摘発されるリスクを抱えてしまいます。
リスクを回避するためにも、疑いを持たれるようなオプションを設定しないようにしましょう。
〇性的なサービスにつながらないように、紙パンツを設置する
健全なメンズエステ店として、紙パンツを必ず設置しましょう。 紙パンツを設置しないエステ店は、グレーな営業を行っていると目を付けられる可能性が十分あります。
更に、客の中には「紙パンツを履き忘れた」と言い、履かないで施術を受けようとする人もいるため、張り紙や受付時に着用を念押ししておくことも重要です。
メンズエステ店は、開業の敷居が低く集客も見込めるため、出店が増えている業態です。
しかし、メンズエステ店の中には違法な営業を行っている店もあるため、健全に営業している店が疑われてしまう場合があります。
疑われることを防ぐためには、今回説明した注意事項に関して、経営者はもちろん、セラピストも徹底的に気を付けることが重要です。 風営法を正しく理解して、性風俗店として判断されないようなメンズエステ店を運営していきましょう。
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手ごろな料金体系で心身の疲れを癒すことができるメンズエステ店は、ビジネスパーソンを中心に人気が高く、近年出店が増えています。
ところが、出店数の増加と同時に、メンズエステ店が違法なサービスを行ったとして警察に摘発されるケースがよく見られるようになりました。
メンズエステ店は、健全な営業を行っていれば法に触れるような業態ではありません。
問題となるケースは、違法なサービス提供を行っている場合です。
今回は、摘発される可能性があるメンズエステ店の特徴と摘発が行われる流れ、そして一般的なメンズエステ店が摘発を回避するためのポイントを、風営法を踏まえたうえで解説します。
目次
1.摘発される可能性が高いメンズエステ店とは
2.風営法の届出が必要なライン
3.警察がメンズエステの摘発を行う際の流れ
4.風営法の届出を出さないメンズエステ店が注意すること
まとめ
1.摘発される可能性が高いメンズエステ店とは
近年、メンズエステ店が警察に摘発されることが増えています。
メンズエステと一口に言っても、厳密には以下の2つの業態に分類されます。
風営法の届出を出して風俗店であることを明確にしているメンズエステ店は、性的サービスを行っても摘発されることはありません。
問題となるケースは一般的なメンズエステ店として営業しているにもかかわらず、無届けで性的サービスを行っている違法店です。
風営法の届出を出さずに性的サービスを提供していたために、風営法違反で摘発される違法メンズエステ店が相次いでいます。
また、風営法ではサービス内容だけでなく、出店できる地域についても指定しています。
禁止地域での営業も、風営法違反で摘発の対象となるため注意しましょう。
メンズエステ店の摘発が増えた背景として、風営法の範囲内の地域で風俗店を新規出店することが難しくなった点が挙げられます。
風営法のグレーゾーンを悪用した違法な出店が増えたことにより、警察によるマークも年々厳しくなりました。
2.風営法の届出が必要なライン
摘発を避けてメンズエステ店を経営するためには、提供するサービスの内容が風営法の届出が必要であるか否かを、正しく理解しておくことが重要です。
メンズエステが風営法の対象となるかどうかは、以下の条項が判断基準とされています。
引用:電子政府の総合窓口e-Gov「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第2条6項」
上記の通り、「異性の客の性的好奇心」に応じてサービスを提供していれば、風俗店として判断されるでしょう。
この場合は風営法で定められる「店舗型性風俗特殊営業2号」、いわゆる店舗型ファッションヘルスの扱いになります。
例えば、股間付近のマッサージであっても、手コキやフェラチオといった「射精」が伴う場合は風営法違反となるでしょう。
3.警察がメンズエステの摘発を行う際の流れ
警察は、あいまいな根拠でメンズエステ店を摘発することはできません。
警察がメンズエステ店を摘発する際には、違法行為の事実を確認するために疑わしいメンズエステ店に対して潜入調査を行います。
ここでは、警察が違法メンズエステ店を摘発するために行う潜入調査の流れを解説します。
(1)客を装って来店する
潜入調査の際は、私服の警察が一般客を装って来店します。
私服を着用した警察は一般客と見分けがつかないため、不意に行われる潜入調査を防ぐことはまず不可能と言っていいでしょう。
(2)施術で性的なサービスを要求する
潜入した警察は、メンズエステ店が実際に違法な性的サービスを行っているかどうかを確認します。
はじめはセラピストから通常のリラクゼーションの施術を受け、徐々に違法メンズエステ店の客が行うような性的要求を行います。
セラピストの反応を見て、実際に性的なサービスが行われているか、また日常的に性的なサービスが行われているかを確認します。
(3)複数のセラピストから施術を受ける
警察は複数人のセラピストに対して潜入調査を行います。
違法な性的サービスをセラピストが個人的に行っているのか、それともメンズエステ店側の指示により店ぐるみで行っているのかを判断するためです。
また、一般客のようにリピーターとして繰り返しメンズエステ店に通う場合もあります。
複数人のセラピストの違法なサービスを確認して、警察が違法なメンズエステ店であると判断した場合は摘発されます。
3-1.摘発後の処分
続いて、違法メンズエステ店が摘発された場合、経営者・セラピスト・客に対してどのような罰則があるのかを解説します。
(1)経営者
違法メンズエステ店が摘発されると、その店は営業停止となり経営者は風営法違反容疑で逮捕されます。
逮捕された際の罰則は厳しく、最も重い罰則が科された場合は「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金又はこれの併科」とされています。
参考:電子政府の総合窓口e-Gov「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第49条」
また、法令違反だけではなく自治体によって定められた行政処分が科される場合もあります。
主に処罰の対象となるのは経営者ですが、共同経営者や経営に関わる従業員が一緒に逮捕されるケースもあります。
(2)セラピスト
違法メンズエステが摘発された際、基本的に逮捕されるのは経営者が多く、セラピストが逮捕されるケースは少ないです。
しかし店ぐるみの犯行と判断されたら、セラピストが逮捕される可能性も十分にあります。
また、逮捕はされない場合でも、メンズエステ店が摘発された場合は警察からその店の実態を事情聴取される可能性があります。
届出を出していないメンズエステ店で性的サービスを行っているようであれば、すぐに辞めることをおすすめします。
(3)客
違法メンズエステ店の摘発は、風営法違反の対象となるメンズエステ店ならびに経営者が対象となるため、その店に居合わせていた客が逮捕されることは基本ありません。
ただし、警察から捜査の協力のために、メンズエステ店のサービスや店舗関係者からの接客内容等について、事情聴取を求められる可能性はあります。
更に、相手が未成年者であることを承知のうえで性的なサービスを受けた場合は、売春防止法違反で逮捕される可能性があるため注意しましょう。
4.風営法の届出を出さないメンズエステ店が注意すること
風営法の届出を必要としない一般的なメンズエステ店でも、実態が疑わしい場合は摘発される可能性があります。
一般的なメンズエステ店が摘発されないためには、「誤解を招くような行為をしない」ことが重要です。
以下では、摘発を防ぐための具体的な注意点について解説します。
〇セラピストに性的なサービスを絶対に行わせない
風俗店ではないメンズエステ店が摘発を回避するためには、サービス提供を行うセラピストに違法行為を絶対にしないように教育を施すことが重要です。
若いセラピストだと、一般的なメンズエステ店と風俗営業のメンズエステ店の明確な区別がつかず、性的なサービスも仕事の範囲内だと思う可能性があります。
そのため、サービス内容についても詳しく教育しておきましょう。
〇禁止事項を客に周知する
客が原因となって違法行為のリスクが発生することも多いため、事前にサービス内容と禁止事項を周知することも重要です。
具体的には、店内の目立つ場所に禁止事項を張りだし、来店時には禁止行為を説明・同意書にサインをもらうようにしましょう。
ルールとマナーを守れる客のみに入店を許可して、禁止事項に同意できない人は断ることが大切です。
上記のような具体的な対策を行うことで、違法なサービスを行っていない証拠にもなります。
〇性的なサービスにつながるような過激なオプションを設定しない
顧客満足度の向上や客単価アップのために、オプションを設定しているメンズエステ店も多いです。
当然、オプションの内容自体が性的サービスである場合は違法となるため厳禁です。
また、性的サービスを誘発するような過激なオプションを設定していれば、健全に営業していても摘発されるリスクを抱えてしまいます。
リスクを回避するためにも、疑いを持たれるようなオプションを設定しないようにしましょう。
〇性的なサービスにつながらないように、紙パンツを設置する
健全なメンズエステ店として、紙パンツを必ず設置しましょう。
紙パンツを設置しないエステ店は、グレーな営業を行っていると目を付けられる可能性が十分あります。
更に、客の中には「紙パンツを履き忘れた」と言い、履かないで施術を受けようとする人もいるため、張り紙や受付時に着用を念押ししておくことも重要です。
まとめ
メンズエステ店は、開業の敷居が低く集客も見込めるため、出店が増えている業態です。
しかし、メンズエステ店の中には違法な営業を行っている店もあるため、健全に営業している店が疑われてしまう場合があります。
疑われることを防ぐためには、今回説明した注意事項に関して、経営者はもちろん、セラピストも徹底的に気を付けることが重要です。
風営法を正しく理解して、性風俗店として判断されないようなメンズエステ店を運営していきましょう。