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COLUMNコラム

インボイス制度が風俗店に与える影響は?概要や導入すべきかを解説

インボイス制度は、軽減税率の導入に伴って整備された、取引ごとに仕入れ額を区分できる仕組みです。2024年時点で基本の商品税は10%ですが、食品のように一部の商品は8%といった軽減税率が適用されているため、インボイス制度の導入で正しい税率を計算できるメリットがあります。

一方、インボイス制度は消費税の支払い負担が増えるおそれがあるといったデメリットがあり、風俗店はインボイス制度の導入でどのような影響があるのか確認することが大切です。

当記事では、インボイス制度が風俗店に与える影響を解説します。

 

1.風俗店にも影響があるインボイス制度とは?

インボイス制度が風俗店に与える影響を考える前に、まずはインボイス制度の仕組みや導入された背景を確認しましょう。インボイス制度の概要を知ることで、インボイス制度に対する理解が深まります。

以下では、インボイス制度の概要、導入後の消費税の計算例やインボイス制度に対応しなかった場合の影響を解説します。

 

1-1.インボイス制度の概要

取引先に対して、適用税率や消費税額を正確に伝えるための書類をインボイス(適格請求書)と呼びます。インボイス制度は、発行されたインボイスを使用して、仕入税額控除の適用を受ける仕組みのことです。正式名称を「適格請求書等保存方式」と言います。

インボイス制度は、軽減税率が導入に伴い整備されました。2024年現在、消費税率は10%を基本としつつ、食料品のような商品は軽減税率8%が適用されています。異なる税率の仕入れ額を正確に計算するため、取引ごとに仕入れ額を区分できるインボイス制度が導入された背景があります。

インボイス制度導入の影響により、事業者が仕入税額控除を受けるためには、取引先からインボイスを発行してもらう必要があります。インボイスを発行してもらえない場合、仕入れにかかった消費税は控除を受けられません。

売り手が買い手にインボイスを発行するためには、税務署へ届出を行ってインボイス発行業者となる必要があります。ただし、2024年時点では、インボイス制度を必ず導入しなければならないわけではありません。

 

1-2.インボイス制度導入後の消費税の計算例

風俗店がインボイス制度を導入した場合、従来よりも納税額が増えるおそれがあります。例えば、120分コースを税込み22,000円で提供している場合、インボイス制度の導入前と導入後の違いは、下記の通りです。

【インボイス導入前の計算方法】

コース料金の内訳(総額):コース料金20,000円+消費税10%=22,000円

バック率50%と仮定すると

  • お店の取り分:11,000円
  • キャストの給料:11,000円

風俗店の納税額:2,000円(コース料金の消費税)- 1,000円(キャストの給料の消費税)=1,000円

【インボイス導入後の計算方法】

コース料金の内訳(総額):コース料金20,000円+消費税10%=22,000円

バック率50%と仮定すると

  • お店の取り分:11,000円
  • キャストの給料:11,000円(※適格請求書の発行が必要)

適格請求書がある場合の風俗店の納税額:2,000円(コース料金の消費税)- 1,000円(キャストの給料の消費税)=1,000円

適格請求書が発行されない場合の風俗店の納税額:2,000円(キャストの給料が仕入税額控除されないため)

風俗店のキャストは、業務委託の個人事業主として契約しているパターンが一般的です。従来の計算方法では、消費税分はキャスト本人に課税されていました。キャストは、年間の給料に応じて課税事業者または免税事業者となる仕組みです。

風俗店側は、通常の領収証を発行し、店舗分の消費税(お店の取り分に含まれる税金)のみ支払えば問題ありませんでした。しかし、インボイス制度の導入後は、キャストがインボイス発行業者として登録しているかによって風俗店側の負担が大きく変化します。

キャストから適格請求書を発行してもらえない場合、給料として支払っていた消費税も風俗店側が負担することになります。

 

1-3.インボイス制度を導入しないとどうなる?

事業主がインボイス制度を導入しなかった場合、考えられる影響は下記の通りです。

  • 顧客との取引額を見直す可能性がある
  • 従来の顧客との取引を中止する可能性がある
  • 新規顧客を獲得しにくくなる

ただし、上記は一般的な企業が取引先との間で生じやすい影響です。風俗店は個人客を対象としたBtoCビジネスが基本のため、導入しなくても売上低下に直結する可能性は低いと言えます。

上記のデメリットがある一方で、インボイスに対応した事務手続きをしなくても良い、年間売上額によっては納税を免除されるメリットがあります。

 

2.インボイス制度で風俗店が受ける影響

インボイス制度は、風俗店で働いているキャストにも影響を与える可能性があります。風俗店の売上に影響するだけでなく、場合によってはキャストたちの給料にも関係するため、しっかり理解しておきましょう。

以下では、風俗店および働くキャストがインボイス制度によって、どのような影響を受けるのか解説します。

 

2-1.消費税の支払い負担が増える

消費税計算の項目でも解説した通り、キャストがインボイス発行業者の登録を済ませている場合は、従来と同じく税金の控除を受けられます。ただし控除を受けるためには、通常の領収証ではなくインボイスの発行が必要です。

キャストからインボイスを発行してもらえない場合、在籍店舗が給料で支払っている分の消費税も負担しなくてはなりません。消費税10%を納付することとなり、風俗店の支払い負担が増加します。

 

2-2.キャストが他店へ移籍するおそれがある

インボイス制度による負担を安易に軽減しようとすると、キャストが他店へ移籍するおそれがあります。キャストの流出リスクが高くなる理由は、主に下記の2つです。

  • キャストのインボイス登録を頼むのはハードルが高い
  • キャストの取り分を減らすと不満につながる

インボイス発行業者に登録すると、請求書に登録番号が記載されます。登録番号は国税庁のサイトで公開されており、誰でも事業者の屋号(本名)や住所を照会できます。そのため、インボイスの登録が身バレにつながる可能性を否定できません。キャストにインボイス発行業者の登録を相談すると、身バレのリスクを懸念して他店へ移籍されるおそれがあります。

消費税負担を軽減する対策として、キャストへの支払い額を減らす方法も有効です。例えば、消費税の金額分をキャストの給料から「雑費負担」の名目で徴収すると、実質的な負担増加を抑えられます。

キャストの取り分を減らすと、お店の定着率の低下や不満につながるでしょう。人気のキャストが他店に移籍すれば、売上に影響する可能性もあります。また、インボイスを導入しなければならないという噂や評判が広がると、風俗求人に募集情報を掲載しても新しいキャストが集まりにくくなるおそれがあります。

 

2-3.利用料金の変更が必要になる場合もある

身バレのリスクを考えると、キャストがインボイス発行業者に登録してくれる可能性は低いと言えます。他店への移籍を避けるために、キャストの取り分の変更もできないとなると、次に考えられる対策は利用料金の変更です。

利用料金を値上げすれば、風俗店が支払う消費税の負担をカバーできます。ただし、利用料金の値上げは、客足に影響するおそれがあります。集客力を落とさないためには、値上げと並行して、顧客が興味を引くコース内容の変更やイベントの企画といった施策が必要です。「値上げしても行きたい」と思えるお店作りで、客足を維持しましょう。

 

3.風俗店がインボイス制度を導入するメリット・デメリット

風俗業界に限らず、インボイス制度の導入には、メリットもデメリットどちらもあります。風俗店がインボイス制度を導入するときは、メリットとデメリットを確認した上で慎重に検討することが大切です。

以下では、風俗店がインボイス制度を導入するメリットとデメリットを解説します。

 

3-1.風俗店がインボイス制度を導入するメリット

インボイス制度を導入すると、風俗店は下記のメリットが期待できます。

  • 消費税額を正確に把握できる
  • 請求書をペーパーレス化できる
  • インボイス制度の導入により、社会的な信用を得やすい

インボイス制度は、商品ごとの税率を正確に把握できるため、軽減税率を忘れずに納税額を計算できます。正しい確定申告・納税ができることに加えて、電子インボイスを利用すれば請求書のペーパーレス化も可能です。電子データの請求書なら、必要なときに情報を閲覧しやすく、保管場所も必要ありません。

また、インボイス登録店である事実が、「消費税を正しく申告・納税している」ことの証明となり、社会的な信用につながります。

 

3-2.風俗店がインボイス制度を導入するデメリット

風俗店のインボイス制度導入には、下記のデメリットもあります。

  • 導入時に負担が生じる
  • 年間の売上額に関係なく納税義務が生じる

インボイス制度の導入には、事務所内の業務フローやシステムを見直す必要があります。

例えば、インボイスの書類は従来の請求書よりも必須項目が増えており、経理担当者は仕入税額控除の集計作業が必要です。電子インボイスを導入するとしても、システムを覚える時間や導入に伴うランニングコストといった負担は避けられないでしょう。

インボイス発行業者になると、税金の負担も大きくなります。年間の売上額が1,000万円未満であっても、納税義務が生じます。

 

まとめ

インボイス制度は、軽減税率の導入を背景に整備された仕組みです。商品ごとの税率を正確に計算できるメリットがある一方で、インボイス制度導入時に負担がかかるといったデメリットがあります。

2024年時点で、インボイス制度の導入は必須ではありません。風俗店は個人客を対象としたBtoCビジネスモデルのため、インボイス制度導入の有無で売上が大きく変わるおそれはないでしょう。ただし、風俗店の納税額が変わるため、インボイス制度のメリット・デメリットを確認した上で、導入を検討することが大切です。

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