優れたコンセプトバーは、単なる飲食を楽しむ場所以上の価値を提供します。訪れたお客さんに強烈な印象を与え、記憶に残る体験を提供することで、再訪したいと思わせる魅力があります。また、特定の興味や趣味を持つお客さんを引き寄せることが多く、来店者同士の交流が生まれやすいのも特徴です。

当記事では、コンセプトバーとは何かといった基礎的な内容から、コンセプトバーのテーマの種類・バーのコンセプトを立てるポイントまで詳しく解説します。

コンセプトバーは、独自のテーマやアイデアを前面に打ち出し、訪れるお客さんに特別な体験を提供するバーの形態です。特定のコンセプトに基づいたサービスや内装、雰囲気を通じて、他のバーとは一線を画す独自の世界観を創出します。

例えば、ガールズバーはバーテンダーが全員女性であることが特徴ですが、最近ではそれを遥かに超える多様なコンセプトバーが登場しています。特定の時代や文化をテーマにしたバーや、ショータイムを楽しめるバーなど、幅広いバリエーションがあります。

コンセプトバーは、特定のテーマやコンセプトに基づいて独自の体験を提供することが大切です。以下では、代表的なコンセプトバーの種類について、7つ紹介するのでぜひ参考にしてください。

アミューズメント系のバーは、ダーツバー、マジックバー、ボードゲームバーなど、特定の娯楽やエンターテイメントを楽しめるバーです。

例えばマジックバーは、美味しい飲食とともに、店内でマジシャンが直接テーブルを回り、お客さんの目の前で迫力のあるマジックを披露してくれます。ボードゲームバーは、さまざまなボードゲームを楽しめる空間であり、共通の趣味を持つ人が集まりやすい社交の場としても利用してもらえるでしょう。

アミューズメント系バーは、ただの飲食店ではなく、訪れる人に新しい出会いやコミュニケーションの機会を提供し、特別な夜を演出できることが魅力です。

カラオケバーは、カラオケ設備を備えたバーであり、訪れるお客さんに音楽を楽しみながらお酒や軽食を味わう体験を提供できる場です。

カラオケバーでは、個室でなくオープンスペースでカラオケが楽しめ、音楽を愛する若者から大人まで、さまざまな年代の人が集まります。カジュアルな雰囲気であれば、よりオシャレで現代的なドリンクメニューを提供するのも良いでしょう。スナックのようなシックな雰囲気のカラオケバーで、客層を高く設定しているお店もあります。

カラオケバーでは、他のお客さんの前で歌を披露することが多く、初対面の人同士でも、共通の曲で盛り上がりやすいのが魅力です。

特定のお酒に特化したバーとは、例えば、日本酒バーやウイスキーバー、ワインバー、テキーラバーなどのことです。特定の分野のお酒に特化すれば専門性を高められるため、競合と差別化を図れます。

例えば、日本酒バーでは全国から選りすぐった日本酒を取り扱い、お客さんに日本各地の銘柄を通じて旅行気分を味わってもらえます。

特定のお酒に特化したバーで成功するためには、対象とするお酒に関する深い知識を有し、お酒の選定からサービス提供まで、すべてのプロセスで質の高い体験を提供することが重要です。お酒に合わせたイベントやテイスティング会を定期的に開催するのも良いでしょう。

趣味を楽しむバーの例として、鉄道バーやアニメバー、サイエンスバーなどが挙げられます。趣味をテーマにしたバーは、独特の市場ニッチを掘り下げることで、熱心なファンベースを築きやすいと言えます。

趣味を楽しむバーは、ただの飲食空間を超え、お客さんが自分の好きなことに没頭し、同じ趣味を持つ他の人とつながれる点が魅力です。開業する場合は、その趣味に対する深い理解と愛情を持ち、その世界観を反映した内装やメニュー、イベントを企画するのが大切です。

フィクションの世界を再現したバーは、小説、映画、テレビ番組、ゲームなどの架空の世界を実際の空間として体験できるようにデザインされた独特のコンセプトバーです。フィクションの世界を再現したバーでは、細部にわたる装飾、照明、音楽、メニューの名称や飲み物の提供方法に至るまで、世界観を忠実に再現することが求められます。

開業する際には、SNS映えするかどうかも確認しながら、コンセプトを設計してみるのがおすすめです。

出会いを目的にしたバーは、いわゆる「婚活バー」「出会いバー」と呼ばれる形態です。独身の男女が新しいパートナーを探すことを目的とした社交の場であり、近年の多様化する出会いのニーズに応えるビジネスモデルとして注目されています。

オンラインの出会いに疲れた人や、より自然な形での出会いを望む人にとって、魅力的な選択肢となり得ます。

婚活バー・出会いバーを経営する場合、まずは安全で居心地の良い環境を提供することが重要です。例えば、会員制を採用し、身元が確認された独身の男女のみが入店できるようにすれば、お客さん同士が安心して楽しめる空間を作り出せるでしょう。

ガールズバーは、女性スタッフがバーテンダーや接客を担うバーの形態です。ガールズバーでは、キャスト（女性スタッフ）がドリンクや軽食を提供し、お客様との会話を楽しむことで、親しみやすい雰囲気を作り出します。

営業時間が深夜までとなる場合が多いため、夜の時間帯に活動するお客さんをメインターゲットにしたビジネス展開が望まれます。ガールズバーの運営にあたっては、女性スタッフの働きやすさや安全性にも配慮し、適切な労働環境を提供することが、サービスの質を保つ上で欠かせません。

最後にバーのコンセプトを立てるポイントを3点紹介します。魅力的なコンセプトを構築できれば、バーの差別化や競争力を高めることにつながり、安定した売上・利益創出がしやすくなるでしょう。

バーのコンセプトを立てる際のポイントの1つとして、ターゲット層を決めることが重要です。具体的には以下のような点に注意する必要があります。

ターゲット層を明確にすることで、バーのコンセプト設計、商品・サービス開発、集客方法など、バー運営のさまざまな側面で具体的な方向性を立てやすくなります。

バーのテーマを設定することで、空間演出や商品構成、サービスの提供方法などに一貫性が生まれ、バーならではの個性が生まれます。どのような目的でバーを開業するのかを考え、それに合わせてテーマを決めましょう。

テーマ設定にあたっては、ターゲット層の嗜好や、周辺環境、競合他店の状況などを踏まえ、バーの個性を最大限に生かせるものを選定することが重要です。

テーマを具体的にコンセプトに落とし込むには、以下のような要素を検討する必要があります。

バーのテーマが明確に表現されたコンセプト設計ができれば、バーの差別化と競争力の向上につながります。

コンセプトバーを経営するためには、まずはお客さんに提供したい体験や雰囲気を明確に定義することが大切です。

また立地に関しては、利便性の良い場所が基本的にはおすすめです。同じコンセプトのバーが集まるエリアは一見避けたほうがいいように思えますが、競合店舗が近くにあることでお客さまが来店しやすいメリットもあります。また、お客さんに最高のおもてなしを提供することは飲食店経営の根幹であり、スタッフの教育とサービスレベルの維持も欠かせません。